初心者向け コーヒー 入れ方 ハンドドリップの抽出時『のの字』の幅を変えると、どのような変化があるか
これまで、ハンドドリップの抽出時にのの字を描かない場合や、のの字の回転させる回数を変えるなど、いくつかのことを検証してきました。出来上がったコーヒーに大きな違いがでたり、逆にほとんど変わらなかったり、結果は様々でした。そういったなかで今回試してみたいと思ったことが、抽出時の、のの字を描く幅を変えるというものです。はたしてどのような結果になるのか。それでは検証していきます。
<使用するコーヒー豆>
エチオピア グジ ウォッシュド
焙煎機 直火
焙煎時間 18分40秒
煎り止め 2ハゼのピーク 深煎り
味の印象 優しい苦味
優しい酸味がある
甘い香りがある
コクがある
ブルーベリー、プルーンなどの比較的落ち着きのある果実味
ダークチョコレートのようなコクと苦味
少し焦げた感じがある
少し後味にえぐみを感じる
<使用する器具>
ドリッパー ハリオV60透過ドリッパー
フィルター ハリオV60ペーパーフィルター (茶)
サーバー IWAKI耐熱ガラスメジャーカップ
ドリップポット ユキワ ステンレスコーヒーポット M-5
カリタ クリーンカットミル
今回はハンドドリップ抽出時の『のの字』の幅を変えて、違いを比べます。ひとつ目はドリッパーの中を中心から端まで満遍なくのの字を描いていきます。もうひとつは、ひとつめよりももっと中心よりにしてのの字を描きます。
電気ケトルで湯を沸かし、ドリップポットにうつし、温度計を挿し90度を確認し、抽出作業にはいります。
<満遍なくのの字を描いたコーヒー>
20秒かけて湯を粉にのせていき、そのあと15秒待ちます。蒸らしが終わりましたら抽出に入っていきます。中心から端まで、満遍なくのの字を描きながら、全体で1分15秒かけて120CCとり、抽出を終了します。
<中心よりにのの字を描いたコーヒー>
こちらも上記と同様に蒸らしたあと、中心寄りにのの字を描いていきます。幅は500円玉を意識しながら抽出をしていき、全体で1分25秒かけて、120CCとり、抽出を終了しました。
<結果>
のの字を満遍なく描くコーヒーを抽出していて、いつも通り湯を流しているつもりでしたが、1分15秒あたりで、120CCに達してしまいました。普段は1分30秒ぐらいで抽出していて、プラスマイナス5秒ぐらいの誤差こそありますが、今回は15秒も早く120CCに達してしまいました。満遍なくのの字を描き、端の方にも湯を流していくのですが、端のほうは湯が早く流れ、カップに入っていくということでしょうか。中心よりに抽出したコーヒーは1分25秒でほとんどいつも通りの時間です。
香りを嗅いでみます。二つを比べると、中心よりにのの字を描いたコーヒーが香りが甘く、より華やかな印象があります。
味をみていきます。全体に満遍なくのの字を描いたコーヒーは、苦味があり、優しい酸味もありますが、若干水っぽい感じがします。ペーパードリップ特有の紙の味も、いつもより強めに感じました。二つ目のコーヒーを飲んでみると、ひとつ目よりも より果実味を感じます。香味がよりしっかりしていてこの豆がもつ、ブルーベリーや、プルーンといった香味をはっきりと感じることができます。香味に隠れているのか、たまたまなのか、こちらは紙の味はあまり感じることができません。
これらのことから中心よりにのの字を描いたコーヒーのほうが粉が持つ香味がより入るということがわかりました。これはどういうことか。ハリオの円錐ドリッパーの形状をみると、横の長さの直径が約3センチから3・5センチぐらいまでが円柱になっています。端のほうは斜めになっているため、中心に湯を流したほうが、より粉に湯が触れて、カップに落ちていくということがわかります。500円玉の直径が265ミリなので、中心よりにのの字を描いたコーヒーが、湯が粉に多く触れ一つ目と比べ、より香味の強いコーヒーになったということでしょうか。
今回も新たにわかったこともありますが、その時その時のコーヒーの個体差であったり、誤差もあるので、より精度の高い検証結果になるよう、今後も同じ条件で別のコーヒーで試していきたいです。