コーヒー探求ブログ

感動のコーヒーに出逢うために

初心者向け コーヒー 入れ方 ハンドドリップ中に抽出されるコーヒーはどのように変化していくか

これまで二つのコーヒーを入れてその違いを比較してきましたが、今回は1杯分のコーヒーをカップ3杯に分けて、抽出時間でどのように味が変化するか検証してみます。

<使用する豆>

エチオピア グジ ウォッシュド

焙煎機   直火

焙煎時間  17分30秒

煎り止め  2ハゼのピークの前半

味の印象    深煎り 苦味とコクを感じる

      少しマスカットのような果実感がある

      優しい酸がある

      甘い香りがある

      少しだけえぐみを感じる

<使用する器具>

ドリッパー ハリオV60透過ドリッパー

フィルター ハリオV60ペーパーフィルター(茶)

サーバー IWAKI耐熱ガラスメジャーカップ
ドリップポット ユキワ ステンレスコーヒーポットM-5
カリタ クリーンカットミル
 
まずミルでコーヒー豆を挽きます。挽きの具合は中挽きより少し粗め。
電気ケトルで湯を沸かし、ドリップポットにうつし、温度計を挿し90度を確認し、抽出作業にはいります。
 
<抽出作業>
ハリオのドリッパーを手に持ち、カップを横に3つ並べ、コーヒーを約40CCずつ、横にずらしながら入れていきます。蒸らしは全部で35秒、全体で約1分30秒で合計120CCになるようにします。
 
<結果>
まずは3つのカップの香りを嗅いでみます。最初の40CCのコーヒーは花のようなとても甘い香りが感じられます。次の40CCを嗅いでみます。香りがほとんど感じられません。かすかに香りを感じますが、最初の40CCのコーヒーのほうが10倍以上香りに華やかさを感じます。3つ目の40CCを嗅いでみますと、あまい香りは感じられず、紙臭さのようなものを感じます。抽出の過程で香りがここまで変化していることに驚きを感じました。甘い香りのほとんどが最初の40CCに集中しています。
最初の40CCのコーヒーを飲んでみます。少し強い酸を感じます。コクや優しい苦味も感じます。口の中に花のような香りが広がり、甘みも感じます。質感のある苦味もあり、味わいがデミタスと似ています。2つ目の40CCを飲んでみます。最初の40CCで強く感じた酸がほとんどありません。コクや甘みもほとんどなくなり、少し苦味を感じます。香味もほんの少しだけしかありません。どことなく麦茶に似た味がするとともに、紙でドリップしているせいか、紙臭さを感じます。最初の40CCと2つ目の40CCはまるで別物のコーヒーです。3つ目の40CCを飲んでみます。2つ目の40CCと傾向は似ていますが、全く香味はありません。2つ目にもあった紙の味がさらに強調されています。不快な苦味もあり、後味が悪く、いい印象がありません。後味を悪くした麦茶を飲んでいるような感じがします。正確な数字はわからないのですが、これらのことから、最初の30CC、40CCで、コーヒーの香りや、コクや美味しさのほとんどが抽出されるていることがわかりました。残りの80CCは麦茶のような、薄いコーヒーです。最後の40CCに関しては美味しさはなく、悪い味が強調されています。三つの段階でここまで違うとは思いませんでした。一通り、3つのカップを飲み比べたあと、一つ目と二つ目を足してみました。すると最初強調されていた酸が少し優しくなり飲みやすくなりました。三つ目を足してみると、酸はさらにまろやかになり、いつも飲んでいる美味しいコーヒーになりました。不思議と三つ目に感じた不快な苦味や紙の味もほとんど消えています。一杯のコーヒーの抽出でこれだけの味の変化があり、三つにわけて単品で飲むと、残りの80CCは美味しいものではないのに、これが一杯目と足されると、欠点を補いあって、美味しい一杯ができていることは興味深いです。
今回の実験で、コーヒーの美味しさの大半が抽出の前半で、でていること、中盤から最後までは、急激に香りもなくなり美味しいものではないが、これが前半のものと混じり合うことで、バランスがとれ、結果として美味しい一杯が完成していることがわかりました。最初の抽出液の濃さが、後半の抽出液の不快な味を隠し、後半のまずい抽出液が最初の強調された酸やコクを、優しくまろやかにします。コーヒーの奥深さをあらためて知るよい機会になりました。今後も様々なことを試していきたいです。